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『楽園』


SS『楽園』バナナ魚(シン×暁)です。
そんなに甘くないですがハネムーンなお話。ちなみに結婚式はあのイラストカットの雰囲気から勝手に6月頃だと思ってます。ジューンブライドですよね、やっぱり!

実は今この二人の話がめちゃくちゃ書きやすくて、ついこっちが先にできちゃいまして・・・順番からして殿ことSSの後編を先に出さなきゃいけないんですが、すいません・・・!続きは鋭意創作中です。

こないだ、たまたまオーズのファイナルツアーの映像みて、アン比奈も久しぶりに書きたくなっちゃいました。実はアン比奈もいくつか途中放置のがあるので何とかしたい・・・特に現パロのやつ。そんなんばっかりだわ。時間がいくらあっても足りないなあ・・・。



バナナ魚/シン×暁






『楽園』





「すっごい青・・・・」
淡く照りつける太陽に手を翳し、あたしは寝そべったチェアからどこまでも広がる濃いブルーの空を仰ぎ見た。
空の青から視線を下へと移せば海の青は白い砂底が見えるほど透明で、光を反射してキラキラと輝いている。コバルトブルーの空とエメラルドグリーンの海。吸い込まれるような紺碧のグラデーションが美しい。
水上コテージはとても静か。あたしたち二人以外、誰もいない楽園のよう。
「ほんの数年前はまさかこんなとこに自分がいるなんて思いもしなかったのになー・・・」
日本の学校で制服着て。いつかアメリカに行くことを夢見て一生懸命学生していたあの日々が、何だかすごく遠い気がする。

結婚式から1ヶ月後、あたしの学業とシンの仕事が一段落ついてからやっと取れた休暇。
新婚旅行を兼ねた夏のバカンスは常夏の島、プライベートビーチでの2週間。
ファーストクラスの飛行機に乗ってやってきた、至れり尽くせりのリゾート生活。
鮮やかなパッションフルーツと陽気な現地の人々。珊瑚礁の海、亜熱帯の花と美しい鳥のさえずり。遥かなオーシャンビューの先に見えるサンセット、部屋から眺める宝石を散りばめたような満天の星の夜。
ニューヨークと違ってゆっくりと過ぎていく時間。何もしない贅沢。
何より、大好きな人とふたりきりで過ごすスウィートな時間は格別ーーーーではあるんだけれど。
その愛しのダンナ様はただいまホテルの本館で仕事の電話中だったりする。
彼はとても忙しい人だ。加えてただの実業家ではないのでいつでもどこでも居場所をせめて腹心の部下には明らかにしていなければならない。火急の件は通せとホテルのフロントに伝えているため、完全オフとはいえこんなふうに時々呼び出されては電話応対している。シンを呼びにくるたびに専属のボーイが申し訳なさそうな顔であたしにデザートやドリンクをサービスしてくれるけど、あたしのほうこそ「こんな小娘に気を遣ってもらっちゃってゴメンナサイ」という気持ちになってしまう。
「・・・・あたしたちって、ちゃんと夫婦に見えてんのかしらね」
新婚旅行で来ているのだから、当然夫婦だと認識されてるのは判ってるけど。
場所が場所だけにシンもラフな格好をしているから、あたしが気にするほど歳が離れてるようには見えないかもしれないのが救いだ。

リゾートカクテルのロンググラスの氷がカランと音を立てた。あたしは物思いから我に返り、グラスに口をつける。サーモンピンクと飾りのオレンジの色合いが可愛らしいカクテル。残念ながらあたしはまだ未成年なのでノンアルコールだ。
グラスを片手にぼんやりと景色を眺める。
このまま水平線までいけそうなくらいのパノラマ。雄大なこの景色を独り占めしているのが何だかもったいないなあと思う。
あたしは真っ白のビキニの上に羽織っていた上着をデッキチェアに脱ぎ捨て、バルコニーから直接浅瀬の海へ飛び込んだ。一瞬、上着を着たままでもよかったかなとちらりと思ったけど、日焼け止め対策はバッチリしてるからそれほど焼けることもないだろう。それでも昨夜、シンが背中に指を這わせながらビキニの跡がどうのと言ってたっけ、なんて思い出しつつ水の中に沈み込むと、白い波の下でカラフルな熱帯魚が散っていくのが見えた。
波に揺られながら魚と同じ気持ちになってゆったりと泳ぐ。一度潜って珊瑚の群生をひとしきり眺めてから水面に顔を出した。そのまま仰向けにぽかりと浮かぶ。ひとつにまとめていなかった髪が水面に広がるのもそのままに、あたしは風を感じるために目を閉じる。
「・・・・シン、まだかなぁ・・・」
目を開けて空と海の青のコントラストをしばらく見つめてから背後のコテージを振り返った。浅瀬に浮かぶ小さなコテージの群れはまるで海の中に佇む小さな島のようだ。
あたしたちが泊まっているコテージの周りにはいくつも同じような部屋があるけれど、誰も宿泊している気配がない。本館のほうにはそれなりに宿泊客がいたことを考えたらこの辺全部貸し切りにしてある可能性が高かった。あえてシンにも何も聞かなかったから実際のところは知らない。シンは他の人がいても気にしないーーーむしろ賑やかなほうが好きな人だから、この一角を完全プライベートにしたのは小英の配慮なのかもしれなかった。二人きりを演出するためのサービスというよりはむしろ、安全対策のためだろう。
「・・・・楽園に一人っぽっちみたい」
ぽつりと呟いてみる。
こんなにも美しく、平和で、穏やかな空間なのに。
あまりにも静かすぎて怖くなる。
たったひとり。鮮やかな世界が一瞬にして色のないものになっていくよう・・・。
失楽園。
ーーーーふとそう思った時、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
シンがコテージに立ってこちらに手を振っている。それを見てあたしはなぜかホッとした。同時に波や風の音が耳に戻ってくる。深呼吸してからゆっくりとコテージまで泳ぐ。
「こーら。いくら浅瀬で安全だからってひとりで遠くまで行くなよ?」
バルコニーに続く小さな階段から彼が笑って手を伸ばしてきた。あたしはただ笑顔を返し、差し出された大きな手を取った。
身体ごと簡単に引っ張り上げられ、上着を肩にかけられる。わしゃわしゃと乱雑にタオルで髪を拭かれてあたしは小さく抗議の声を上げた。
「お茶にしよーぜ」
見ればパラソルの下のテーブルにはアフタヌーンティーセットが置いてあった。三段の一番上は色とりどりのマカロンとフルーツのタルト、二段目はスコーンとクリームが、そして三段目にはサンドウィッチが盛ってある。
「どこから出てきたの、これ?」
泳いでいた今の今まで、誰も給仕に来た様子はなかったはず。
「さっきフロントからこっち戻る時にボーイから受け取ってきた」
どうやらティーセットを運んでいたボーイから、奪うように自分で持ってきたらしい。
「悪いな、度々ひとりにして」
「ううん、大事な仕事のことでしょ。あたしは全然構わないよ?」
「俺が構うの!」
此処に来る前は「新婚旅行中くらい完全オフ!」なんて言ってたから、有言実行できずにいることを気にしているらしい。そういうところ、彼はとても律儀だ。
「待たせた詫びにわたくしめがお茶をお淹れしますよ、奥サマ?」
「ん、よきにはからえ」
「かしこまりまして」
お互いくすくすと笑いながらお茶にする。アイスティも用意されていたけれど、折角のスイーツだから温かいダージリンにした。ちょっと暑いけど、まぁいいや。李家現総帥の次期後継者と目される傑物に手ずからお茶を淹れてもらうなんて、世界広しといえどもあたしだけだろうから。
無骨で大きな手がポットからカップに紅茶を注ぐ。白い陶磁器に琥珀色が映えて綺麗。シンはといえば、ちゃっかりカクテルを自分の前に置いていた。どうやらスイーツを食べる気はないらしくサンドウィッチに手を伸ばしている。
さっきまで怖いくらいだった一人ぽっちの世界がまた色を取り戻す。ーーー彼が戻ってきただけで、あたしの小さな世界はこんなにも鮮やかになるのがほんの少し、悔しかった。
シンは行儀悪く頬杖をついたまま、ドライマティーニのオリーヴをつまんで口に放り込んだ。
「あれだけ仕事の電話してくるなって念押ししたのに、小英のやつ!そちらはさぞかしごゆっくりなんでしょうね、だと。当たり前だっての、ハネムーンだぞ!?遠慮しろよ、まったく・・・」
「小英たちに仕事丸投げしてきたくせに、そんなこと言わないの。別にいいじゃない少しくらい」
色々心配してくれてるんでしょ、と宥めると「いいや、あれは面白がって邪魔してるだけだ!」とうるさい。
「そうだ、お前が小英に『愛しのダーリンに休みをあげて~』って可愛くお強請りすればもっと休暇が増えるんじゃね?」
「なにそれ。小英は『社長は今までも長いバカンスは滅多に取られないほどお仕事大好きですから』って言ってたけど?」
「それはバカンスを取る時間がない程ずっとオベンキョーで忙しかっただけ!なにしろガキの時に学校なんてマジメに行ってなかったからな~、そのツケがこんな歳までずーっと残ってたせいでさぁ・・・遊ぶ暇がなかったんだよ単に」
しれっとよく言う。あたしが知ってる限り、昔から仕事の合間にだってちょっとでも時間ができればジムだのツーリングだの行ってたじゃん。そもそも中国出張のついでとかいって日帰りで日本に来てた人の台詞とは思えない。
「嘘ばっかり。仕事だって好きなくせに」
「・・・・うーん・・・それはまぁ、そうなんだが。けどだからって自分の時間がなくなるのは痛い。もう独り身じゃないし、これからは公私はきっちり分ける。ちゃんと休みは取るようにするから安心しろ。今度はスペインあたりに行こうぜ」
「・・・・期待しないでおく・・・」
「なんでだよ!」
「だって。ハネムーンだって結婚式から一ヶ月経ってやっと小英に何とか調整してもらったんでしょ。だいたい、今のシンの仕事量考えたらこれ以上の長期休暇なんて当分無理だと思うけど。っていうか、絶対無理だよね?」
「・・・・・。それを言うな・・・・」
こんなに忙しくなるとは思わなかったんだぁ~!っと頭を抱えて盛大に嘆く夫は、それでも仕事も遊びも全力で楽しむタイプだから結局自分のやりたいとおりに何とかしてしまいそうだった。
「とにかく!今は仕事のことなんか忘れて二人きりを楽しもうぜ。あとでクルーズ行こう。さっき船をチャーターしといた」
「わざわざチャーターしたの?」
そんなことを軽く言えちゃうようなセレブな人があたしのダンナ様だなんて今でも信じられない。この期に及んでも「ホントにケッコンしちゃってよかったのかなぁ」なんて内心戸惑ってる自分がいる。
それが嫌だとか不満だとか、もちろんそんなわけないんだけど。
・・・強いて言えば不安、なのかな。
身の丈に合わない贅沢や降ってわいた社長夫人のポジションは正直、あたしには不要のもので。あたしが望んだのはたったひとつ、彼の傍にいることだけだったのに。
彼に否が応についてくる豪華なオプションが、あたしを怖じ気づかせるのだ。
「な、船から夕陽見ようぜ」
「・・・・うん」
察しのいい彼は、あたしのちょっとした気持ちの揺れを素早く読み取る術に長けている。腰を引き寄せられ、じーっと見つめられた。考えてることを見透かされそうになって視線をはずそうとしたけど、そうする前にすかさず額にキスされた。たったそれだけであたしは肩から力が抜けてしまった。不思議と「まぁいいか、何とかなるよね」という気分になってしまうのだ。きっと彼のおおらかな笑顔とポジティブな性格の賜物だと思う。それにシンとは13歳の頃からの付き合いだし、軽いハグとキスひとつであたしの機嫌を直すのなんてお手のものだろう。
「・・・イヤか?それとも他にしたいことがあるなら・・・」
「ううん、楽しみ。・・・嬉しいよ?」
お返しに心をこめて抱き返すと、子どもみたいに嬉しそうに彼が笑ったのであたしもつられるように笑う。

ダイビングやセーリングを楽しんで。
美味しい食事とスパで癒されて。
数えきれない程のキスと惜しみなく注がれる愛情に幸せを感じてもいるけれど。
でもね、一番嬉しいのは。
誰にも邪魔されない、あなたとふたりだけの時間を過ごせること。
昔ほど自由の利かないVIPな彼は、常に誰かが付き従っている。今だって遠巻きにSPがついてることをあたしは知ってる。
本当に「ふたりきり」になれるのは、きっとベッドの中か夢の中だけね。

休暇が終わればまた忙しい日常が待っている。
世界中を飛び回っているあなたは、あたしの傍にいつもいてくれるわけじゃない。
これから先、きっともっとそうなるだろう。
だからせめて、それまでは。
ずっと、なんて言わないから。今はあたしだけを見ていてほしい。
あたしが愛したーーーただの青年だった頃のままの、あたしだけのあなたでいて。


そして忘れないで。
あなたがいる場所が、あたしにとって至上の楽園だということを。







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この子たちの新婚旅行はタヒチとかの海系が似合うと思う派。

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【 2014/12/11 】 SS | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

チャコ@まま

Author:チャコ@まま
関西在住のおたママ。
只今三人の息子達を相手に育児奮闘中。

マンガ・小説・アニメ・特撮・舞台・ジャニ等、大好きなもの雑多な管理人です。
09/侍の殿様と11/海賊の船長と単車乗りの鳥系幹部を愛してます。現在、人類最強兵長敬愛中。

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