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SS『再会』

お久しぶりのBANANA FISH。シン×暁でSS『再会』です。

暁が二度目に渡米する時っていつかな?っていうのは前々から考えてたことで、一番しっくりきたのが高校入学前の春休みだったので、うちの設定ではこんな感じで。時系列では『I do not know you』の後ですね。

SSというほどの長さでもないですが。一番書きたかった話かもしんない。だいぶ前に書き上げてたんだけど、出すタイミング逃しちゃって・・・春先の設定なんですが、もういいや出しちゃえ!って感じです。

ーーーそういう、季節とかにこだわってまだ出せてないお話(全ジャンルで)がいっぱいあるんですけどね・・・オチが決まってなかったり途中抜けてたりで、ざっとチェックしてみたら結構な数の未完成SSがありました・・・。
この秋は仕事の関係上、ちょっと自分の時間がそれなりに取れそうなので、頑張って(今度こそ)創作活動したいなと思ってます。まあ、去年の秋よりマシな程度には・・(弱気)。





バナナ魚/シン×暁





『再会』




ここニューヨークにも、遅い春が巡ってきた。

まだ少し肌寒い三月末の平日、渋滞するハイウェイをできうる限りのスピードでかっ飛ばし車をパーキングに突っ込むと、シンは空港に飛び込んで国際便到着予定の掲示板を素早くチェックした。
「間に合ったか・・・?」


暁に会うのはあれ以来ーーーー約二年半ぶりになる。
高校受験が無事終わったので、やっと両親や伊部から渡米許可が出たらしい。高校入学までの二週間、春休みを利用して単身やってくる暁を出迎えに空港までやってきたシンは、観光客などでごった返す入国ロビーをぐるりと見渡した。
まだゲートを出ていないのか、暁らしいローティーンエイジャーの姿は見当たらなかった。
あいつ小さいからなぁ。こんな人混みじゃ埋まっちまって見えねえな、なんて思いながらゲートを覗き込んでいると背後からシン!と自分を呼ぶ高い声が聞こえた気がしてシンは振り向いた。
何だよお前、もう出てきてたのかーーーと言いかけた自分の声は、飛びついてきたしなやかな躯に口から出ることはなかった。
「久しぶり、シン!元気だった?」
明るい声と笑顔が視界いっぱいに広がってシンは口を開けたまましばし固まる。
ーーーー誰だ、この美少女は。
華奢で柔らかい躯を抱きとめながら現状把握に数秒かかる。
「お前、まさかアキラ、か?」
「は?何言ってんの、当たり前でしょ」
そう言って自分を見上げてくる顔はよくよく見れば確かに暁だ。けれど昔のボーイッシュな子どもの面影はもはやない。
肩の少し下まで流れるストレートの黒髪に髪と同じ色のアーモンドのようなぱっちりとした瞳。ミニスカートから伸びたすらりとした細い脚を惜しげもなく晒したその少女は、さながら蛹から蝶になったばかりの眩さを全身に纏わせていた。
女は成長が早いとはいえ、たった二年そこそこですっかり女らしくなった彼女にシンは驚く。
「マジでアキラか、お前・・・見違えたな!」
ひょいとその細い腰を抱えるように高く抱き上げる。まじまじと顔を見ると暁はちょっと照れたように頬を膨らませた。
「もうっ、抱っことかやめてよね!そんな子どもじゃないのに」
「おお、いっぱしの口きくようになったな~」
そういえば先日久しぶりにマックスと電話をして、暁を迎えに行く話をした時「お前はずっと会ってなかったんだよな。きっと驚くぞ」と言っていたことを思い出す。
ーーーーこういうことか。
簡単な再会の挨拶を済ませて軽い躯を降ろし、暁のスーツケースを代わりに持つ。暁はありがと、とにこやかに微笑んでシンの隣を歩き出した。
はらりと顔に落ちかかる髪を無造作にかきあげ颯爽と歩く彼女に、迎えにきた自分を警戒しておどおどと見つめていた二年半前のガキんちょだった暁と今の姿が重ならない。妙な違和感があった。
昔のイメージのまま、ショートカットの子どもを視界に探していたのではそりゃあ見つからないはずだ。
背も随分伸びたようだ。見たとこ、160cm前後だろうか。ナマ足がやけに眩しい。
「奥村さんは、今日も仕事?」
「あ、ああ・・・まぁな。悪かったな、また俺で」
急遽英二のピンチヒッターだった前回とは違い、今回ははじめからシンが迎えに来るつもりだった。理由は特にない。何となく前回も自分だったから自然と今回も自分が、とシン自身思っていたのは確かだ。
「誰が来てくれても全然構わないけど。・・・っていうかさ、シンのほうが奥村さんよりずっと忙しいんじゃないの?迎えに来る暇なんかよくあったね」
わざわざ来てもらってごめんね、と殊勝なことを言う少女にシンは気にするな、と言葉を添える。
「今日はオフにしてあるから大丈夫だ」
「だって平日だよ?無理して仕事休んだりしてないよね?」
下から上目遣いで自分を見上げる暁に、まだどこか違和感を覚える。
「まさかアキラに仕事の心配されるとはな・・・・そんな遠慮はしなくていいぞ」
くしゃりと髪を撫でてやると、「ちょ、やめてよ!」と唇を尖らせた。そういう顔は昔と同じで何となくシンはほっとしたが、次の暁の言葉にまた目を丸くすることになった。
「でもさ、経済誌のトップに載るような有名人自ら迎えにきてもらうほうが申し訳ないよ。あたしは別に、マイケルに迎えにきてもらうんでもよかったのに」
「マイケル?・・・マイケルってあのマイケルか?」
「うん。グレンリードさんちのマイケルくん。日程教えてくれたら迎えに行こうかって言ってくれてたんだけど」
「・・・お前ら、そんなに仲良かったっけ?」
当時を思い返してみると、確かに仲間内で一番暁と歳が近いのはマイケルだったが。
「仲良いっていうか・・・メールとかたまにしてるし」
「マイケルとか?」
「そうだけど?」
初耳だった。いや、ずっと前にマックスからちらっと聞いたことがあったような気もするが、あまりに瑣末事すぎて聞き流していた。
「いつからメールのやりとりなんかしてんだ?」
「えーと、一年くらい前かな。去年の春にマックスたちが家族で来日したんだけど、それは知ってる?」
「・・・ああ、そういや伊部に会いに初めて日本に行ったとか何とかマックスが言ってたっけか」
「そうそう。その時にあたしがアキバとかに案内してあげたんだよね」
「アキバってなんだ?」
「オタクの聖地」
「は?」
「ほら日本のアニメとか、マイケル昔から好きだったでしょ」
覚えてない?と小首を傾げる暁の仕種がいかにもオンナノコしていて、半分上の空で相づちを打ちながらシンは何故か落ち着かない気持ちになる。
チビだった頃の暁を知っているせいだろうか。まるで見知らぬ少女と会話しているようだ。
「そういや・・そうだったっけか?」
「うん。で、アキバっていうのはそういう人たちが好きな店がいっぱいある東京の街のひとつね。秋葉原っていうもともと電気屋街で外国人の観光客にすごく人気があるの。で、マイケルも来日した時にまずそこに連れてけって言うからさ、一緒に観光案内してあげたわけ。それ以来彼とはメル友なんだ。そっち系の情報提供とかしてあげたりして。あたしも英語の勉強になるしね。たまにマックスやジェシカにもエアメイル書いたり電話で話したりするよ」
「へえ・・・・」
知らなかった。
何だよ、マックスのやつ。こないだの電話じゃ、そんなこと一言も言ってなかったぞ。
そう思ったが、単にそういった世間話をする機会がなかっただけなのだろう。現にシンのほうもずっと忙しくしていて昔ほど彼らとしょっちゅう会ったり話したりすることもなくなっていた。英二を介して話題に出るから疎遠になった感覚がないだけで、実は先日の電話も半年ぶりだったのだ。直接会ったのはそれよりさらに前だ。そもそもマックスとは仕事絡みの話や昔の話はよくするが、その息子のマイケルとは込み入った話をするほど親密というわけではない。
昔はよく遊んでやったんだけどなあ。そういやマイケルとももう随分会っていない。毎年ホームパーティには誘われるが、いつも行けるわけではないのだ。当然、彼のプライベートなど知る由もない。そしてそれは、暁についても同様だということにシンは今更ながら気がついた。
「ーーーだからね、今回はマックスんちにもホームスティすることになってるんだ」
「ああ、そういやそんなことを英二が言ってたな」
英二がフロリダのほうで仕事が入り何日か家を空けるため、マックスと英二、それと暁の保護者的立場である伊部との間でそういう取り決めがあったのは知っている。2週間のうち、後半10日はマックス宅で過ごすと聞いていた。
「ジェシカが五番街でショッピングしようねって」
「そんな約束してんのか」
「うん、だって前と違って今回はたった2週間しかいられないし。色々行きたいとこ、ジェシカと相談したの。メトロポリタンで今興味のある絵画展やってるらしいし、あとはブロードウェイも」
楽しみだなーと鼻歌でも歌いだしそうなほどご機嫌な暁に、シンは溜め息とも感嘆ともつかない吐息を漏らした。
五番街にブロードウェイ、か。
もうぬいぐるみを抱いて喜ぶ歳じゃないんだなぁ・・・。
最後に空港で見送った時の、大きなテディベアを抱いて日本に帰っていった姿が眼裏に浮かぶ。
感慨深いが、同時に寂寥を覚えた。しみじみと感傷じみたことを思うのは歳を取った証拠だろうか。
「えーと、アキラ」
「なに?」
パーキングに向かいながら、気を取り直して声をかける。
「ニューヨークへようこそ、だな。でさ、とりあえず英二んとこに荷物置いたらどっか行くか?俺、今日一日空いてるし、時差ぼけが平気ならどこでも連れてってやるぞ」
足を止めて、暁はじっとシンを見た。
「嬉しいけど、いいの?」
「何が」
「せっかくのオフなのに、あたしなんかに付き合わなくてもさ、ほら、恋人とデートとか・・・」
遠慮がちに言われた言葉にシンは軽く肩を竦めた。
「今、そういうのいないから、気にしなくていい」
「ふーん、そうなんだ・・・シンはまだ結婚する予定ないの?」
立場上、早く結婚したほうがいいんじゃないの、と知ったふうに言う暁にシンは憮然とした。
「ほっとけ。俺はその気になりゃ引く手あまただからいいんだよ。第一、まだ嫁さん貰う気はさらさらない」
「ああ、華僑のお偉いさんたちが色々うるさいんでしょ?自分の娘だの孫だの、貰ってくれって」
「・・・・何でお前がそんなこと知ってる」
「去年来日した時、マックスが俊一おじさんにそんなこと話してたもん。シンがお見合いから逃げ回ってるって」
「あいつら、余計なことを・・・」
子どもに聞こえるところでそんな話をするな、と思わず舌打ちしたくなったが、それをおくびにも出さずさりげなく話題を変えることにする。
「とにかく、俺の嫁事情なんかどうでもいい。そもそも今日はお前のために休み取ったんだから、お前が俺に付き合わないでどうするんだ。俺の休みをフイにする気か?」
「あ、そういうことなら遠慮なくエスコートしてもらっちゃおうかな〜。じゃあ、あとでSohoに行きたいんだけど、いい?」
「Soho?お前あんなとこに何しに行くんだ」
「何って、ブラブラしたいだけだけど?あの辺、雑貨とか本屋さん多いでしょ。ウィンドウショッピングしたいの。それにファッショントレンドだからブテッィクも覗いてみたいし。あとちょっと気になるカフェとかあるのよね」
そういうのチェックしてきたんだ、と暁が朗らかに言う。
Sohoは確かに最先端トレンドの中心で、若者っぽいヒップな街だ。英二の住むグリニッジ・ヴィレッジからも近い。このあとちょっと出かける分には悪くないスポットだろう。
「へえ・・・・・お前もそういうのに興味あるんだなぁ」
「あ、なんかバカにしてる?あたし、今年もう16になるんだよ?」
お洒落に興味あるのは当然、という顔をした少女に、オンナが好きなものは年齢関係なく世界共通なんだなと苦笑した。シンの知っている昔の暁は、まだそんなものに興味がないーーー否、諸事情でそういったものを無意識に拒んでいたボーイッシュな少女だったから、尚更その成長の早さに戸惑いを隠せない。
・・・・なんかちょっと、寂しいなあ。
年頃の娘を持った父親ってこんな気持ちかも、とじじくさいことを考えていると、ふいにくるりとこちらを振り返った暁が「シン!」と呼んだ。
「今日オフ取ってくれてありがと!・・・シンが一番久しぶりだから、会えて嬉しい」
そう言ってふわりと微笑った。
半分コドモ、半分オトナな華やかな笑顔に一瞬虚をつかれたシンが二の句を告げない間に、彼女は再び前を向いてさっさと歩き出してしまった。
「・・・・・。10も下の小娘に見蕩れてどーすんだ、俺・・・」
思わず空を仰ぐ。
「・・・・参ったな・・・・」

会っていなかったのはたった2年半だというのに。
たかが2年。されど2年。
少女がいっぱしの女性になるには充分な年月らしい、とシンは密かに思った。








***************************************
2度目の邂逅。でもって絶対2度目もシンが空港に迎えに行くと思う。ここは譲れませんね!前回はあーちゃんがデカい男のお迎えにビビってたけど、今度はシンが美少女にビビればいい(笑)。この時点では当然、お互いまだ何も意識してません。メールとか、この年代ってもう一般化してたっけ?とそういうとこがやけに気になりました(調べたらもうメールしてました)。
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【 2014/10/23 】 SS | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

チャコ@まま

Author:チャコ@まま
関西在住のおたママ。
只今三人の息子達を相手に育児奮闘中。

マンガ・小説・アニメ・特撮・舞台・ジャニ等、大好きなもの雑多な管理人です。
09/侍の殿様と11/海賊の船長と単車乗りの鳥系幹部を愛してます。現在、人類最強兵長敬愛中。

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