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SS『君を守るのは』

イナクロSS『君を守るのは』アップ。

アーサー王編での京葵。むしろ剣城→葵→天馬、みたいな。そんな淡い感じで。
この辺の京葵とか、きなこちゃんを絡めてみたりとかのお話はもう少し書いてみたいです。


イナクロ/京葵





『君を守るのは』







目が醒めたら、中世の古めかしい甲冑に身を包みアーサー王の城にいた。
ーーーー円卓の騎士として。




・・・・また、別々か。

俺たちが無事に本の中に辿り着いたのはすぐに知れた。城の中庭らしき場所で起きだしてきた全員顔を見合わせ、人数確認した末に何人かいないことに気付く。
俺は真っ先に確認した人物が見当たらないことに人知れず青くなった。
神童先輩が呟く。
「いないのは天馬とフェイとワンダバ、それとマネージャーたちか・・・」
そう、空野も此処にはいなかった。
どうもここのところ、タイムジャンプ先で空野と離れて行動することが多いような気がしてならない。
どのみち最終的には皆合流するんだろうが、しかし今回は史実の中に跳んだわけではなく架空の世界だ。ちゃんとしたタイムジャンプで跳ばされたわけじゃないから傍にいないと心配になる。

天馬たちと一緒ならいいが。いや、今此処にいないメンツの顔を思い浮かべるとどうも頼りない。それでも誰かと一緒ならまだいい。もし、アイツが一人でどこかに跳ばされていたらと思うと、急に身に付けている甲冑がずしりと重く感じた。
たとえそれが天馬の隣だろうと何だろうと。せめて俺の目の届く場所にいてくれればそれでよかったのに。
ーーーー無事だろうか。
探しに行こうかと周りを見渡した時、突如城から高らかなファンファーレが響き渡った。
城の者が庭に面したバルコニーに進み出て声高に告げる。
「アーサー王がお見えだ!」
広場で待つことしばし、アーサー王らしき人物が城の奥から顔を出す。今や円卓の騎士となった俺たちは一斉に頭を上げ、かりそめの主君を見上げた。そして、続いて王に付き従うように入ってきた人物に俺は「あ、」と小さく声を上げた。
・・・・・いた。
シックなドレスを身に纏った彼女の無事な姿にとりあえず安堵の息をつく。
姿格好からして、どうやらアイツの配役は王の関係者らしい。さしづめ王女といったところか。
「わー、空野さん、お姫様じゃん!」
王とともにバルコニーに現われた空野を見上げた狩屋は歓声を上げたが、次いでハッとしたように隣にいた影山にひそひそと声をかけた。
「空野さんの役割ってさ、まさかアーサー王のお妃・・・とかじゃないよな」
「もう狩屋くん、アーサー王と空野さんの年の差を考えたら?王妃じゃなくて王女だと思うよ。ほら、絵本に載ってたじゃない、メローラ姫って。それだよきっと」
「ああ、そっか。そーだよなー。お妃様だといろいろ問題あるだろーし。・・・よかったな、剣城くん?」
「・・・何がだよ」
何でそこで俺に振るんだ。
思わせぶりな狩屋の言葉なんかそのまま聞き流せばよかったのに、つい問い返してしまったことを俺は後悔した。
「だってさ、お妃ったら王様の奥サンだよ?ヤバいでしょ、やっぱ」
「だから何が」
「ほら、夜伽とかさぁ・・・」
「ヨトギってなに?」
信助の無邪気な問いに俺はだんまりを決行し、狩屋はそんな俺にニヤニヤと視線をよこした。慌てた影山が「えっと、それは」とごにょごにょと語尾を濁す。
「ようは王様の夜のお相手をするってイミ!夫婦だったらそういうの当然でしょ?」
しゃあしゃあと言い放つ狩屋の言葉に信助は意味を理解したのか顔を赤くし、俺は無言のまま狩屋を睨み返した。
こいつ、デスドロップくらわしてやろうか。
言うに事欠いて、何言ってやがる。
俺の殺気・・・というか化身の気配を感じたのか、横から影山がしょうがないなあとフォローを入れてきた。
「大丈夫、空野さんは王の娘だからそんな心配する必要ないよ。まったくもう、今そういうこと言うと不敬罪になっちゃうかもよ、狩屋くん」
狩屋くんてほんとデリカシーないよねと呆れ顔の影山にフンと肩を竦めた狩屋がまた矛先をこっちに向けてくる。・・・・懲りないやつだな。
「ところでさー、剣城クン」
「・・・何だよ」
「君の化身。ふと思ったんだけど、剣聖ランスロットがアーサー王の円卓の騎士だったってことは?」
「知ってるが。・・・それがどうした」
「アーサー王の奥サンてグィネヴィアって有名な王妃だったよね」
「・・・・・」
俺の無言を肯定ととったのか、狩屋が声を潜めて続ける。
「ランスロットてさ、王妃のグィネヴィアと不倫してたんだよね」
「だから?」
「いやー、もし空野さんがグィネヴィアの役だったらさー、剣城くんどうしたかなって・・・」
「おーい、一年!任務につくぞ!」
狩屋の言葉に重なるように神童先輩の声が飛ぶ。影山と信助がそれに返事をしながら走り出す。
「ねえ、ちょっと剣城くんてばどうなの?」
「どうもしない。くだらないこと言ってないで、さっさと任務につくぞ」
「・・・・・はいはいーっと」
まだ何か言いたげな狩屋の視線から逃れ、俺は踵を返して信助たちを追うように歩き出す。
ーーーーー知ってんだよ、そんなことは。
自分の化身のルーツくらい判ってる。ランスロットが有名な騎士だったことも、王妃グィネヴィアとのことも。有名な話だ。だからって自分には関係ない。たまたま俺の化身がランスロットだっただけで、俺がランスロットなわけじゃないんだ、関係ない。
・・・・・関係、ないけど。
狩屋に気付かれないようそっと振り返って見上げれば、空野がドレスを翻しアーサー王に付き従ってバルコニーを後にするところだった。



***



とりあえず天馬やフェイたちが戻ってこないとどうにもならないので、物語の流れに任せながら此処にいないヤツらを待つことになった。本のとおりなら明日には全員が揃うはずだ。
夜半に先輩たちと交代で城の庭を警護のために巡回する。他の一年と別れた俺は裏庭に回ったところで、小さなテラスで空を見上げる空野を見つけた。
「おい」
「あ、剣城くん」
「こんな時間に何やってんだ。さっさと部屋に戻ってろよ」
そこは王女の部屋なのだろう。空野は昼間見たドレス姿ではなく薄手の寝間着ーーーネグリジェだろうーーーを着ていた。月明かりと部屋から漏れるランプの灯りだけのテラスは、空野をぼんやりと浮かび上がらせていた。普段見ない姿に心拍数が僅かに上がる。
「剣城くんこそ何してるの?」
俺の内心など知らない空野は静かな声音でテラス下にいる俺を覗き込んだ。
「見回り」
俺はそれだけ言うと柱に手をかけて軽く跳んだ。吃驚する空野が俺の名を呼ぶ間にテラスに登り空野の目の前に立つ。
「剣城くん、危ないよ」
「これくらいどうってことない」
「もう。・・・・他の皆も見回りしてるの?」
「さぁ。そうなんじゃないか」
「へえ・・・・騎士って大変なんだね。ご苦労様」
労いの言葉と微笑みはいつもどおりのようでいて、けれど空野の表情はあまり冴えなかった。おおかた、ここにはいない連中のことーーー特に幼馴染みのやつだろうがーーーを心配して考えこんでいたんだろう。
「・・・・お前は?」
「何が?」
「いつもはジャージで走り回ってるやつが、おしとやかなお姫様役なんかちゃんとできてるのか?」
「あっ、そういうこと言う?剣城くんてばひどぉい!」
「ほら、そういうとこがな」
揶揄かうと空野はぷうっと頬を膨らませた。
「うー・・・・大丈夫だもん!アーサー王も優しいし、お姫様なんてやっぱりちょっと憧れちゃうし、こんな役貰えて嬉しかったりするんだけどね。・・・まぁ、ドレスは重くてちょっと肩凝るけど、私でも役に立つなら何でもしたいし。・・・・茜さんたちとかもどこにいるんだろうね。無事だといいけど」
「大丈夫だろ、あの人たちなら」
うん、と小さく微笑んだ空野は、けれどふとまた空を見上げて小さく呟いた。
「・・・・天馬、どうしてるかな・・・・」
ああ、やっぱりな。
いつも明るい空野が表情を曇らせるのはいつだってあいつのことでだ。その心配がはたして単純に幼馴染みを思ってのことか、それ以上の別の感情から起因するのか俺にはわからない。訊いてみるにはまだ少し俺たちの間には見えない壁があるような気がした。いや、俺自身、彼女に対する自分の感情にまだ名前をつけれないでいる。けれど俺ではない別の誰かのことを考えている空野を見るのはあまりいい気分じゃなかった。
色々な感情が胸を過ったが、俺はそれら全てに目を背け何でもないふうを装って言った。
「きっとすぐ会える。あいつなら何があっても何とかしようとするだろ」
「そうだよね・・・天馬なら、大丈夫だよね」
「まあ、ワンダバと一緒だとしたら、危なっかしいけどな」
なあにそれ、とくすくす笑う空野の、ようやく見れた笑顔に俺はほっとする。そう、今はその笑顔だけでいい。
「お前が、グィネヴィアじゃなくてよかった」
「え?誰?」
「知らなくていい」
「・・・・・?」
俺はランスロットじゃないけれど。
でも伝説の騎士が、手の届かないはずだった王妃に焦がれた気持ちは判らないでもない。
いつも幼馴染みと一緒にいる目の前の少女。
今はその幼馴染みもいない。
だから少しだけ。ほんの少し、俺がそいつの代わりをしてもいいだろう?
俺はそっと空野の前に跪く。空野が大きな目をさらに大きく見開いた。
「剣城くん?」
どうしちゃったの!?と慌て出す空野に「今は円卓の騎士だから」と返す。
「それでは姫君、」
後ずさりしようとする空野の手を逃げられないように掬い取り、その白い甲に掠めるように唇を落とした。
「あ、あの、」
我ながらガラにもなく気障なことをしているという自覚はあったが、まぁたまにはいいだろう。なんせここは架空の世界だ。だから今のこの俺も、物語の中の一登場人物で架空の人間。俺であって俺じゃない。
「無事に仲間の騎士を救うことをこの月に誓いますれば」
顔を上げるとこの薄暗さでもわかる程、彼女の頬が紅く染まっていた。
「おい。合わせろよ、メローラ姫」
「だって・・・っ、急にそんなの無理!剣城くんてば何かいつもと違うんだもん」
調子狂っちゃう、と俺に手を掴まれたままの空野はおろおろと目を泳がせた。
「天馬じゃなくて悪いが。あいつが来るまで俺がお前を守ってやる」
「え?」
「・・・・・なんてな。ボロ出さないようにしろよ、お姫サマ?」
「も、もうっ、茶化さないでよ!」
どこかホッとしたようにぎこちなく微笑んだ空野に俺も申し訳程度に笑み返すと、するりとその手を離してバルコニーを飛び降りた。
「じゃあな」
背を向けたままお休みと言うと、柔らかな声が降ってきた。
「ありがと、剣城くん。・・・・おやすみなさい」
「・・・・・ああ」
月明かりに照らされた空野の表情があんまり綺麗で、このまま傍に留まりたい気持ちを抑え込んでその場から駆け出す。

・・・・ランスロットもこんな気持ちで王妃と逢瀬を重ねていたんだろうか。
少しだけ伝説の騎士の苦悩を身近に感じ、俺は想いを振り切るように月を見上げた。









**************************************************
・・・この後の天葵展開にもう公式は幼馴染みカプで決まりなのかなーと思ったり。天葵も可愛らしくて好きですけどね。
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【 2013/11/02 】 SS | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

チャコ@まま

Author:チャコ@まま
関西在住のおたママ。
只今三人の息子達を相手に育児奮闘中。

マンガ・小説・アニメ・特撮・舞台・ジャニ等、大好きなもの雑多な管理人です。
09/侍の殿様と11/海賊の船長と単車乗りの鳥系幹部を愛してます。現在、人類最強兵長敬愛中。

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